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メルマガ 【歯オタク育成】 2007/08/06
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第7回 「歯科医院でのメンテナンスの本当のところ」
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皆さん、こんばんは!
歯チャンネル運営者の田尾です。


週末は長野に行って、後輩の野球の試合の応援をしていました(^^)


長野は本当に涼しくてとても気持ち良いのですが、
涼しすぎてちょっと風邪引いちゃったかも…(;;)


ここで少し説明をさせて頂きますと、
歯科大学では毎年、全歯科大学の部活対抗の
「オールデンタル」(歯学体)というものがあります。


高校野球でいう「夏の甲子園」みたいなものですね。
みんな、この大会を最大の目標に日々の練習に励んでいます。
(一部、そうではない場合もありますが…)


デンタルの運営は毎年順番で各歯科大学が受け持つのですが、
今年は僕の母校の松本歯科大学が主管だったので、
遠路はるばる長野まで応援に行ったというわけです。


・・・結果は惜敗でしたが(^^;)


まぁ結果はともかく、何かを一生懸命頑張るということは
全てにおいて一番大切な基本だと思いますから、
部活を通じてその基本を学び、励ましあえる仲間を
作ってもらえたらいいなぁ…と思います。




さて今回は、かなり謎のヴェールに包まれている

「歯科医院での定期的なメンテナンス」

について、裏情報を交えながらお伝えしたいと思います!



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メンテナンスって、いったい何をするの?
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歯科医院でのメンテナンスでは主に、


1.歯のクリーニング、患者さんへの歯磨き指導
2.虫歯、歯周病などのチェック


が行われます。


そして、これらの最終的な目的は、


3.歯を健康な状態で長持ちさせること


に集約されます。


しかし注意しなければならないのは、
歯科医院によって「歯のクリーニング」「虫歯、歯周病などのチェック」には
非常に大きなレベルの差があるということです。


例えば「歯のクリーニング」を例に挙げてみますと、



【歯科医院A】

・トレーニングを積んだ歯科衛生士が、時間をかけて丁寧にクリーニング。
・患者さんへの歯磨き指導もしっかり行う。
・今後の注意点などについて、患者さんにしっかりと説明。


【歯科医院B】

・何の資格も持たない歯科助手が、適当にクリーニング。
・患者さんへの説明もほとんど無し。



上記のような違いがごく普通にあります。


当然、歯科医院Aでは良い結果が期待できますが、
歯科医院Bではほとんど良い結果は期待できません。


それどころか下手なクリーニングを行われてしまうと、
歯やかぶせ物などに傷が付いてしまったり、
むしろマイナスに作用してしまいかねません。


そういうわけですので、メンテナンスを行う上で一番大切なのは、

「メンテナンスをしっかりと行っている歯科医院を見極める」

ということになります。


ちなみにこれは私考ですが、
僕が考えている基準でメンテナンスを行っている歯科医院は、
大体10〜20件に1件程度です。



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メンテナンスの効果
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現在、歯科医院で定期的にメンテナンスを行っている日本人は
ごく少数(あるデータでは約2%)なのですが、その最大の理由は、

「メンテナンスの効果が分からない」

からだと思います。
(メンテナンスに力を入れている歯科医院が少ないというのもあると思いますが…)


メンテナンスと言っても、ほとんどの場合自費で(予防には保険が利かないため)、
1回5000円〜10000円くらいかかってしまいますから、
効果があるかどうか分からないものにそんなお金出せないというのは当然でしょう。


そこで、歯科医院での定期的なメンテナンスにはどのくらいの効果があるのか、
その点について解説をしてみたいと思います。


メンテナンスの効果については様々な人が研究・発表していますが、
世界的に有名なアクセルソンという人が発表した2004年のデータでは、
次のような結果が出ています。

(Nystromという歯科衛生士が30年間メンテナンスを行った結果です)



【メンテナンス開始年度と被験者数】

・メンテナンス開始年度 : 1971〜1972年
・被験者数         : 550人以上



【メンテナンスの間隔】

・最初の2年間は2ヶ月に1回
・その後は各個人の状況に合わせて、3〜12ヶ月に1回



【メンテナンスの内容】

・患者さんへの歯磨き指導
・フッ素配合の歯磨剤やペーストを用いたPMTC

※PMTCについてはこちらをご覧下さい。
/jiten/pmtc.html



【メンテナンスの結果】


[定期的にメンテナンスを行った人が30年間の間に失った歯の平均本数]

・20〜35歳 : 0.4本 (1年当たり、0.01本)
・36〜50歳 : 0.7本 (1年当たり、0.02本)
・51〜65歳 : 1.8本 (1年当たり、0.06本)

※年齢は、1971〜1972年のメンテナンス開始時の年齢です。



[51〜65歳で、20本以上自分の歯が残っている人の割合]

・95%以上

※20〜35歳からメンテナンスを30年間続けた場合、
 95%以上の人が20本以上自分の歯を残すことに成功しました。



[30年間の間に新たに発生した虫歯の平均本数]

・1.2〜2.1本 (1年当たり、0.04〜0.07本)
(ただし、その内の約80%が以前虫歯治療を行っていた部位の二次カリエス)

※メンテナンスを続ければ、新たな虫歯の発生もほとんど無いということです。



ちなみに、平成17年に厚生労働省が発表した最新のデータでは、
次のようになっています。


[年齢別、失った歯の平均本数]

・50〜54歳 : 3.7本
・55〜59歳 : 5.0本
・60〜64歳 : 7.1本


[永久歯の虫歯の平均本数]

・12歳 : 1.7本
・13歳 : 2.6本
・14歳 : 3.3本
(1年当たり、0.7〜0.9本虫歯が増加)

※ただし、これは比較的虫歯の出来やすい年齢でのデータですので、
 その点は考慮する必要があります。



日本で定期的なメンテナンスを受けている人は2%程度だと言われていますので、
これがメンテナンスを行わなかった場合のデータに近いと言えると思います。


こうして見比べてみると、メンテナンスがいかに重要なのかが
ご理解頂けるのではないでしょうか?


ちなみに、日本でメンテナンスと言えば山形県酒田市の
「日吉歯科診療所」を外すわけにはいかないのですが、
ここでも上述のアクセルソン先生のデータに匹敵する結果が出ています。


ホームページも非常に充実していますので、
興味のある方はぜひ一度ご覧になってみてください。

//www.hiyoshi-dental-office.org/



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メンテナンスに力を入れている歯科医院を見つけるには?
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というわけで、メンテナンスの効果についてはご理解頂けたかと思いますが、
問題はどのようにして「メンテナンスに力を入れている歯科医院」を
見つければ良いのか?ということです。


そこで、メンテナンスに力を入れているかどうか見分けるためのポイントを
私なりにまとめてみましたので、ぜひ参考にされてみてください。



★ポイント1:「とにかく説明が非常に丁寧!」


メンテナンスの効果を最大限に引き出すためには、
何よりも患者さん自身に知識を身に付けてもらうことが重要です。

ですので、


・どのように歯磨きを行えば良いのか?
・現在の歯磨きはちゃんと出来ているのか?
・今後どのようなことに気を付けて行けば良いのか?


などについての説明を十分に行わなくてはなりません。

このような説明をせずにPMTCだけを定期的に行ったとしても、
メンテナンスの効果を十分に引き出すことは不可能でしょう。

つまり、「十分な説明」も「メンテナンス」の一部なのです!


例えば、歯磨きの状況をまとめた資料を患者さんに見てもらいながら、

「前よりは良く磨けてますけど、こことここはちょっと磨き残しがあるので、
こんな感じで磨いてみて下さいね〜」

といった感じで歯磨き指導をするような歯科医院は期待ができると思います。



★ポイント2:「ただ治療を行うのではなく、その後のメンテナンスも重要視してい
る」


例えば虫歯治療を行った場合、
一度治療をした歯はどんなに良い治療をしたとしても
天然の自分の歯よりも虫歯になりやすくなっているため、
虫歯の「本当の原因」を取り除かない限り、
超高確率で二次的な虫歯(二次カリエス)になってしまいます。

※実際、歯科医院での治療の8割以上は、過去に行った治療の再治療です。


虫歯の「本当の原因」を取り除くために必要なのがメンテナンスですので、
何らかの治療をした際に、患者さんが何も言わなくてもメンテナンスについて
説明をしてくれるような歯科医院は、期待ができると思います。


※虫歯の予防については、こちらも参考にされてみてください。
/musiba/musibano-yobouhou.html


このような説明をきちんとしてくれるかどうかを見ることで、
その歯科医院のメンテナンスのレベルをある程度見分けることができると思います。


結局は、患者さん自身があらかじめある程度の知識を持っておかないと
良い歯科医院を見分けることも出来ないと思いますので、
当サイトなどで出来るだけ勉強をしてみてください。


※ただし、勉強をしすぎて歯オタクになってしまうと、
 その辺の歯科衛生士では全く歯が立たないくらい詳しくなってしまうので、
 なかなか納得できる歯科医院が見つからなくなってしまいますが…



★ポイント3:「PMTCって何ですか?という質問に、すぐに答えられる」


例えば歯医者さんや衛生士さんに、

「PMTCっていうのがあるそうですけど、どんなことをするんですか?」

と質問をしてみてください。


ほんの少し勉強をしていればPMTCくらい知っていて当たり前ですから、
もしPMTCという単語すら知らなかったとすれば、はっきり言って論外です。

参考:PMTC
/jiten/pmtc.html


ここではPMTCを例に挙げましたが、他にもいろいろと質問をしてみて、
それにちゃんと答えられるかどうかで良い歯科医院を見極めてみてください。
(そのためにはやはり、患者さん自身が知識を身に付けておくことが必要です)


いろいろと質問をするとうざがられる、怒り出すということも実際ありますが、
そんな歯科医院ではちゃんとしたメンテナンスなんてまず出来ませんから、
恐れずにバンバン質問しちゃってください。


バンバン質問することによって、その歯科医院のレベルが見えてくるはずです。
(冒頭にも書きましたが、僕の基準でちゃんとメンテナンスを行っているのは、
大体10〜20件に1件程度です)


大切な自分の歯(あるいは家族の歯)を守るためには、
時には非情な患者になることも必要なのです!(笑)


また、患者さん自身が積極的に良い治療・メンテナンスを求めることによって、
日本の歯科医院のレベルの底上げにもつながっていくのだと思っています。



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メンテナンスにかかる費用
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予防には保険が利かないため、
メンテナンスはほとんどの場合保険外(自費)になります。


保険外なので歯科医院によって費用に大きな幅はありますが、
メンテナンスの大体の相場としては、


[1時間あたり 10000円 (30分なら5000円程度)]


くらいです。


高〜っ!!と思われる方も多いと思いますが、
美容院で髪を切っても1回5000円くらいかかりますから、
大切な歯を守るための費用としてはそんなに高額ではないと思うのですが…
(メンテナンスの間隔も、健康な人なら1年に1回程度で良い場合もありますし)


自分の歯を健康に保つということは本当に重要ですから、
この程度の投資で歯の健康が保てれば、
費用対効果としては恐ろしく高くなります。


歯が抜けてインプラントをしようと思ったら1本30万円くらいかかりますし、
その後のメンテナンスも絶対に必要になりますし、
なによりお金をかけてもどうにもならないこともありますから、
結局はメンテナンスをしっかりと行って予防に努めることが、
最も患者さんにとってメリットが大きい方法なんです。


ちなみに日本で定期的にメンテナンスを行っている人は2%程度ですが、
アメリカでは年間所得400万円以上の人の約80%、
年間所得200万円以下の人でも約50%が歯のメンテナンスを行っています。
(さすが合理主義国家!まぁ、保険との兼ね合いもあるんですけど)


日本ではまだ国民・歯科医師ともにメンテナンスへの関心が低いようですが、
今後一般の方への情報公開が進むことによって、
メンテナンス率もどんどん高くなってくることが予想されます。


ただ、日本でメンテナンスが一般的になるまで待っていたら、
その頃にはもう入れ歯になってしまう方も多数おられると思いますので、
このメルマガをご購読されている歯オタク候補の皆さんには、
ぜひ時代を先取りして頂きたいなぁ…と思います。



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というわけで今回は、歯科医院でのメンテナンスについてでした。

次回からもさらにマニアックな歯科情報をお伝えしていきたいと思います。
乞うご期待!


【バックナンバー】
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歯科医向け [お勧めの一冊] (不定期連載)
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このコーナーでは、僕が読んだ歯科関連の本の中から、
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何か良い本ないかな〜?と迷っている方は、ぜひ参考にされてみてください。

※ちなみに、著者や出版社などからお金は1銭も頂いておりません。
※さらに、著者に無断で勝手にお勧めしていますので、あしからず。



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ぜひぜひご一読下さいませ。


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