斑状歯,歯牙フッ素症
mottled tooth、dental fluorosis



斑状歯(歯牙フッ素症)とは、の発生期に過剰のフッ素を摂取することにより、歯に白い斑点やしみなどの症状が現れるもののことです。

重度のものになると、白色ではなく茶色っぽく見える場合もあります。

軽度の斑状歯
重度の斑状歯


斑状歯は、「歯の発生期に過剰のフッ素を摂取すること」により起こりますので、すでに歯の石灰化がほぼ終わっている6歳以降にいくらフッ素を摂取したとしても斑状歯はまず起こりません。

乳歯に発症することも少なく、通常は歯の発生期である6ヶ月から5歳までの間に過剰のフッ素を摂取することによって、永久歯に発症します。


■参考:歯種別、歯の石灰化開始時期と完了(歯冠完成)時期

乳 歯
歯種 エナメル質石灰化開始 歯冠完成
乳中切歯 妊娠 4〜4.5ヶ月 生後 1.5〜2.5ヶ月
乳側切歯 妊娠 4.5ヶ月 生後 2.5〜3ヶ月
乳犬歯 妊娠 5ヶ月 生後 9ヶ月
第一乳臼歯 妊娠 5ヶ月 生後 5.5〜6ヶ月
第二乳臼歯 妊娠 6ヶ月 生後 10〜11ヶ月


永久歯
歯種 エナメル質石灰化開始 歯冠完成
中切歯 3〜4ヶ月 4〜5歳
側切歯 上顎 10〜12ヶ月
下顎 3〜4ヶ月
4〜5歳
犬歯 4〜5ヶ月 6〜7歳
第一小臼歯 1.5〜3ヶ年 5〜6歳
第二小臼歯 2〜2.5ヶ年 6〜7歳
第一大臼歯 出生時 2.5〜3歳
第二大臼歯 2.5〜3年 7〜8歳
第三大臼歯 7〜10歳 12〜16歳




■斑状歯の重症度の分類(ディーンの指数)

ディーンの指数とは斑状歯(歯牙フッ素症)の重症度を表す指数で、1942年にトレンドリー・ディーンによって開発され、現在でも使用されています。

歯のフッ素症スコアは、2本以上の歯に見られる、最も重度な症状に基づいて決定されます。

ディーンの指数
分類 判断基準(エナメル質の状態)
正常 滑らかで、つやがあり、青白いクリーム状の白い半透明の歯面
疑わしい いくつかの白い点あるいは白班
軽微 小さく不透明で紙の白さの部分が歯面の25%以下
軽度 不透明で白い部分が歯面の50%以下
中等度 すべての歯面が罹患している、かみ合わせの面の顕著なすり減り、茶色の汚点
重度 すべての歯面が罹患している、別々のあるいは集まった小孔、茶色の汚点




■飲食からのフッ素摂取量参考値 医学研究所食品栄養局

斑状歯(歯牙フッ素症)は、フッ化物の摂取量を上限量以下にすることで予防できます。

Food and Nutrition Board of the Institute of Medicine(1997年)
年齢群 参考体重Kg* 至適摂取量(mg/日) 上限摂取量(mg/日)
0〜6ヶ月 0.01 0.7
6〜12ヶ月 0.5 0.9
1〜3歳 13 0.7 1.3
4〜8歳 22 1.0 2.0
9〜13歳 40 2.0 10
少年14〜18歳 64 3.0 10
少女14〜18歳 57 3.0 10
男性19歳以上 76 4.0 10
女性19歳以上 61 4.0 10

* アメリカ合衆国第3回国民健康栄養調査(NHANES III)の一部である1988-1994年のデータに基づく値


■斑状歯(歯牙フッ素症)と虫歯、どっちが危険?

「At the time this low level of fluorosis was deemed not to represent a public health problem; if it was even noticed, it was considered acceptable and far preferable to the severe dental caries it largely replaced」

WHOテクニカルレポート846(フッ化物と口腔保険)より抜粋


これは訳すると、

「歯のフッ素症の低いレベルは公衆衛生的な問題はないと見なされている。というのはもしそれが気付かれる程度であったとしても,それは容認できるものと考えられ,そして重度の齲蝕に大部分が取って代わるよりは,はるかに望ましい」

という意味になります。

「斑状歯!」
「副作用!」

というと、どうしても敏感に反応してしまう人が多いですが、実際には虫歯を作ってしまうことのほうがよっぽど重大な問題です。


⇒参考:斑状歯、歯牙フッ素症-歯科相談室
⇒参考:2歳の子供の虫歯予防、フッ素の慢性中毒2-歯科相談室






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