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「最新の治療法」 への向き合い方
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「歯ちゃんねる」の回答者としてしばしばうける相談の中に、「最新の治療」に関する相談がある。
それは治療法であったり、材料であったり、検査であったり・・・
様々な分野に最新のテクノロジーが導入されて、それを受け入れるか否かの決断を迫られる方の悩みが、それらの相談を通して感じられる。
皆さんは一体、どうしたらいいのだろう?
私は以前のコラムでも「患者さんの武器は常識」であると書いたが、ここでも「常識」で物事を考えてみたい。
一つ覚えていてもらいたい。
「最新の治療」の多くは、
"長期間に渡る口の中でのデータがない"
という事実だ。
そもそもあまりサンプル数がないから「最新」なのだ。
歯科医師にも「最新の治療」に積極的に導入する人がいる。
その理由は様々であるが、これも常識で考えると、
必ずしも「最新の治療」が「最適な治療」にはなりえないことはわかると思う。
もし夢のような治療の話があれば、それはその担当医にとって「夢」だと思っているだけの可能性がある。
そして皆さんがそれに付き合う必要はない。
資本主義の常で、我々の歯科医療の現場でも年がら年中新しい材料がマーケットに出て、ド派手にプロモーションが行われ、広告が打たれ、患者さんの口の中に使われる。
しばらく経つと、同じ会社から別の商品が出されて、それが繰り返される・・・・
それが歯科界の経済を引っ張っていき新たな発展につながることも事実だ。
私がお世話になったイエテボリ大学のカリオロジー学教室のBo Krase名誉教授は、その著書の中でとても示唆に富んだグラフを紹介している(下図)。
※新しい薬剤や方法の発展のカーブ
この図は、開発当初は過大評価され、時間の経過と共に不必要、時には危険だ、とのレッテルが貼られ、評価が下がるところまで下がると、さらに反転し、本当の評価が定まる、ということを示す。
最終段階になると、「こういうケースはうまくいくが、こういうケースには向かない」という知識やデータが備わってくる。
私自身の経験でも「最新」と呼ばれた歯周組織の再生療法や、期待大だった虫歯の予防法など、多くの例が見事にこのカーブの通りに歩んでいる。
皆さんが劇的な効果を期待して、最新の治療を受けるかどうか迷っているならば、こう考えると皆さんの決断の助けになるかもしれない。
「この治療って、このカーブのどの辺なんだろう?」と。
もしその方法しかあなたの問題を解決するチャンスがないとしたら、これは受けてみる価値はあるだろう。
でも、そうでなかったら・・・
特に従来の方法や材料で十分に解決可能であるならば、これはちょっと考えるべきだ。
医学においても科学の発達は人類を多くの苦しみから救ってきた。
これは先人たちの苦労の賜物だ。
ただあまりに急激に発達してきたせいか、我々は使いこなすのではなく、逆に翻弄されているのでは、と思うときが間々ある。
また患者さんも過剰な期待を寄せて、安易に受け入れているケースも見受けられる。
そうならないためにはどうしたらいいのであろう。
最新のテクノロジーの恩恵を効果的に受けるためにはどう向き合っていったらいいのだろう?
やはり「常識」が最大の武器になってくる。
天然の歯は神様が我々にくれたこの世で最も美しく、機能的な「義歯」である。
世界一の歯科医師も決して敵わないものだ。
歯科医師も患者さんもそれを分かった上で、つまり人工物の限界やリスクを知った上で、「担当医と患者さんが一緒に考えていく」ことが、今現在私が考えうる最も効果的な対処法であると思う。
それは治療法であったり、材料であったり、検査であったり・・・
様々な分野に最新のテクノロジーが導入されて、それを受け入れるか否かの決断を迫られる方の悩みが、それらの相談を通して感じられる。
皆さんは一体、どうしたらいいのだろう?
私は以前のコラムでも「患者さんの武器は常識」であると書いたが、ここでも「常識」で物事を考えてみたい。
一つ覚えていてもらいたい。
「最新の治療」の多くは、
"長期間に渡る口の中でのデータがない"
という事実だ。
そもそもあまりサンプル数がないから「最新」なのだ。
歯科医師にも「最新の治療」に積極的に導入する人がいる。
その理由は様々であるが、これも常識で考えると、
必ずしも「最新の治療」が「最適な治療」にはなりえないことはわかると思う。
もし夢のような治療の話があれば、それはその担当医にとって「夢」だと思っているだけの可能性がある。
そして皆さんがそれに付き合う必要はない。
資本主義の常で、我々の歯科医療の現場でも年がら年中新しい材料がマーケットに出て、ド派手にプロモーションが行われ、広告が打たれ、患者さんの口の中に使われる。
しばらく経つと、同じ会社から別の商品が出されて、それが繰り返される・・・・
それが歯科界の経済を引っ張っていき新たな発展につながることも事実だ。
私がお世話になったイエテボリ大学のカリオロジー学教室のBo Krase名誉教授は、その著書の中でとても示唆に富んだグラフを紹介している(下図)。
※新しい薬剤や方法の発展のカーブ
この図は、開発当初は過大評価され、時間の経過と共に不必要、時には危険だ、とのレッテルが貼られ、評価が下がるところまで下がると、さらに反転し、本当の評価が定まる、ということを示す。
最終段階になると、「こういうケースはうまくいくが、こういうケースには向かない」という知識やデータが備わってくる。
私自身の経験でも「最新」と呼ばれた歯周組織の再生療法や、期待大だった虫歯の予防法など、多くの例が見事にこのカーブの通りに歩んでいる。
皆さんが劇的な効果を期待して、最新の治療を受けるかどうか迷っているならば、こう考えると皆さんの決断の助けになるかもしれない。
「この治療って、このカーブのどの辺なんだろう?」と。
もしその方法しかあなたの問題を解決するチャンスがないとしたら、これは受けてみる価値はあるだろう。
でも、そうでなかったら・・・
特に従来の方法や材料で十分に解決可能であるならば、これはちょっと考えるべきだ。
医学においても科学の発達は人類を多くの苦しみから救ってきた。
これは先人たちの苦労の賜物だ。
ただあまりに急激に発達してきたせいか、我々は使いこなすのではなく、逆に翻弄されているのでは、と思うときが間々ある。
また患者さんも過剰な期待を寄せて、安易に受け入れているケースも見受けられる。
そうならないためにはどうしたらいいのであろう。
最新のテクノロジーの恩恵を効果的に受けるためにはどう向き合っていったらいいのだろう?
やはり「常識」が最大の武器になってくる。
天然の歯は神様が我々にくれたこの世で最も美しく、機能的な「義歯」である。
世界一の歯科医師も決して敵わないものだ。
歯科医師も患者さんもそれを分かった上で、つまり人工物の限界やリスクを知った上で、「担当医と患者さんが一緒に考えていく」ことが、今現在私が考えうる最も効果的な対処法であると思う。
大野 純一 大野歯科医院 (群馬県前橋市)
2009年10月23日
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