クイック矯正(補綴矯正)とは、ラミネートベニアやクラウンなどの人工の歯(補綴物)を使用することによって、短期間(1週間～1ヶ月程度)で歯並びを良くする方法です。

「矯正」の名は付いていますが、実際に歯を動かすわけではないので、厳密に言うと矯正ではありません。

クイック矯正の最大のメリットはその名の通り、通常何年もかかる矯正がほんの数週間で終わるということです。

しかし、多くのケースで健康な歯を削ったり、歯の神経を取ってしまったりしなくてはなりませんし、後々様々なトラブルが出てくる可能性が高い方法ですので、適用については担当の歯医者さんと充分に話し合ってから決める必要があります。

• 通常何年もかかる矯正が1週間～1ヶ月程度で終わる。
• 歯を白くすることもできる。

• クイック矯正で歯の形や位置を変えられる量には限界がある。(歯並びの状態によってはクイック矯正が向かない場合もある)
• クラウン(被せ物)を使用する場合には、健康な歯の神経を取ってしまうことがある。(神経を取ってしまった歯は、寿命が短くなりやすくなります)
• ラミネートベニアが剥がれたり、クラウンが割れたりするトラブルが起こることがある。(事前に、万が一トラブルが起こった際の保障について聞いておくことが重要です)
• 全体的な噛み合わせの改善はできない。(一部の歯の位置を変えたい場合や、歯の形だけ変えたい場合に有効です)
• 虫歯、根の病気などのトラブルが出てきた際には、作り直しが必要になる。(クラウンやラミネートベニアの再利用はできません)
• 将来的に歯茎が下がり、人工の歯と天然の歯の境目が目立ってきて、審美性が悪くなってしまうことがある。

クイック矯正は保険外の治療となるため、治療費には歯科医院ごとに大きな差があります。
そのため、ここではいくつか実際の治療例を挙げて治療費の説明とさせて頂きます。


例１：上の前歯6本をセラミックのクラウンで治療した場合

コア(歯の方向を変えるための土台)　　2万円×6本＝ 12万円
セラミックのクラウン　　　　　　　　12万円×6本＝ 72万円　　　　合計84万円

※セラミッククラウン12万円、コア2万円とした場合の治療費の一例


例２：上の前歯6本をラミネートベニアで治療した場合

ラミネートベニア　　　　　　　　8万円×6本＝ 48万円　　　　合計48万円

※ラミネートベニア8万円とした場合の治療費の一例

クイック矯正は短期間で歯並びをキレイにできる方法ですが、健康な歯を削ったり、歯の神経を抜いたりすることが多いため、トラブルの起きやすい方法でもあります。

審美歯科などで十分な説明を受けずにクイック矯正を行い、後々トラブルが出てきて困っているという相談も後を立ちません。

[参考] クイック矯正(補綴矯正)に関する歯科相談

芸能人でデビューまで時間がないなど特殊な事情がある場合は別ですが、基本的にはクイック矯正はできるだけ避けて、時間がかかったとしても通常の歯を削らない矯正を行うことをお勧めします。